ボタニカルブームも相まってオーガニックも相変わらずの人気です。
食品のオーガニックだけでなく、タオルや化粧品など、植物由来であればなんでもオーガニックの方が良いという流れになっています。
もちろん、同じ野菜を買うのであれば、オーガニックの方が良いですし、化粧品に配合される植物由来成分もオーガニックの方が良いです。
有機栽培であり、ある一定の基準を満たすといった品質面を求めればそれは間違いありません。
ただし、ベビーローションのような化粧品の場合に関しては一概に「オーガニックだから」が当てはまらないケースがあります。
ここではどうしてベビーローション選びにおいてオーガニックであることが安心材料にならないのか、多くの人が見落としがちな落とし穴についてご紹介します。
アレルギー発症の原因と保湿剤に配合されるアレルゲンとの関係
例えばですが、子供にキク科植物のアレルギーがあるとわかっている場合はベビーローションの全成分を見て入っているかどうかを確認すると思います。
これは多くのアレルギーがある方がやっていることだと思います。
ですが、近年ではアレルゲン入りのスキンケア化粧品を使用することによってアレルギーが発症する可能性があるのでは?という推察があります。
下記をご覧ください。
ピーナッツアレルギーのお子さんの実に91%がピーナッツの含まれたスキンケア製品を使用していることが報告されました。
引用元:アレルギーは予防できますか?
特に海外オーガニックベビースキンケアにはピーナッツオイルやキク科植物のカレンデュラといった成分が使われていることが多いです。
植物成分がすべてアレルギー発症のリスクがあるわけではなく、植物の種類によって異なります。
子供のためと思い良かれと思って塗っていたベビーローションが子供のアレルギーの発症原因となっているかもしれないのは、辛いですよね。
断っておきますが、アレルゲン入り化粧品が必ずアレルギーを引き起こすわけではありません。
アレルギー発症と関係がある可能性が高いというだけです。
オーガニックだから安心ではダメ
オーガニックを否定するわけでもなく、ボタニカルでも良いわけですが、オーガニックだから大丈夫なわけではないということだけは知っておいていただきたいです。
ボタニカルやオーガニックがブームな理由として、合成成分(人工的に作られた成分)は自然界に存在していないから良くない。植物は自然界に存在しているから良いといったよくわからない理屈が広まってきた背景があると思います。
あえて人工物を否定して植物を押してきたことによって生じた誤解だと思いますが、自然界にあるものは安全、自然界にないものは危険というのは嘘です。
安全・危険を決めるのは「量」です。
身近なことで考えればわかりやすいですが、塩は生命活動に欠かせませんが、一気に大量に塩を取り込むと危険です。
普段何も思わず毎日の料理に使っている醤油だって1本丸ごと一気飲みすると終わります。
もちろん成分の種類によって危険と見なされる量は異なります。
冒頭でお伝えしたように、植物成分を配合するならオーガニックである方が良いですし、植物って色々な嬉しい作用もあったりするのも事実です。
ですが、オーガニックベビーローションだから安全だとかそういうのではありませんし、そう思っているのであれば考えを見直された方が良いでしょう。
オーガニックベビーローションというのは、配合されている植物由来成分の一部もしくは全てがオーガニック成分が使用されているベビーローションであることを示しているだけのものです。
実際に検討中のオーガニックベビーローションが本当に安心できるようなものなのかどうかは、成分を確認しないことにはわからないのです。
赤ちゃんのお肌にやさしいベビーローションって何?
様々なメーカーからベビーローションが発売されていますが、単純に保湿を考えるだけであれば、どのベビーローションでも可能です。
保湿ができないベビーローションなんてそもそもベビーローションとしての役割を果たしていないことになり、そんなベビーローションは存在しないでしょう。
違いがあるからこそ様々なメーカーがそれぞれの考え方に基づいてベビーローションを開発しています。
ベビーローションは皮膚が大人に比べ敏感な赤ちゃんのお肌に使うものなので、赤ちゃんのお肌へのやさしさを考慮して作っているはずですが、やさしさという言葉の捉え方はメーカーによって異なります。
オーガニックやボタニカルであることがお肌にやさしいと捉えている場合もあれば、お肌への刺激が強い成分が無添加であることがやさしさだと捉えている場合もあるでしょう。
我々消費者は数多くあるベビーローションの中から自分が我が子のために「こんなベビーローションを使ってあげたい」というイメージにより近いベビーローションを選び出す必要があります。
オーガニックをやさしいと思うのも、無添加をやさしいと思うのも、天然由来をやさしいと思うのも個人の自由ですが、とりあえず、アレルゲンが含まれるベビーローションを使用しているとアレルギーが発症しやすい可能性があるという実例だけは新たな知識として知っておくべきではないでしょうか?
知らないことは判断しようもありませんが、知っていればご自身で考えることはできます。
やさしさだけでなくアレルゲンカットも意識しましょう
国立成育医療センターでは2014年に下記のような発表を行っています。
成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試験で、新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。
簡単に説明すると、生まれたばかりの赤ちゃんからしっかりと全身保湿ケアを行うことでアトピーの発症リスクを減らすことができるということですが、アトピー予防として保湿ケアを行う際にその保湿剤にアレルゲンが含まれていて、乾燥してバリア機能が低下した赤ちゃんのお肌に塗ることによってアレルギー発症の原因になる可能性があるとしたら、何のためのスキンケアなのかわからなくなってしまわないでしょうか?
何をやさしいと思うかは自由と言いましたが、個人的な見解をお伝えしておきますと、オーガニックやボタニカル、天然由来はやさしさを決定づけるものではありません。
植物由来だから天然由来だから肌にやさしいとは限りません。刺激の強い植物由来成分だってありますし、小児科などでよく処方されるワセリンは石油由来ですが、安全性が高い保湿剤です。
成分については何由来なのか、よりもその成分はどういう特徴があるのか、オーガニックやボタニカルといった大きな概念で判断するのではなく、成分一つ一つを見て判断すべきです。
無添加については無添加という言葉で安心せず、どんな成分がどれだけ無添加になっているのか確認しないと意味がありません。
赤ちゃんのデリケートなお肌に対し負担となりえる成分ができる限り無添加で、かつアレルギーを引き起こしやすい成分がなるべくカットされているベビーローションを選ぶことが大切ではないでしょうか?